日々作業療法士として働いている中で、楽しいこともあれば、辛く悲しいことも多く経験すると思います。
かくいう私も、新人の頃は何百回も辞めたいと思い、精神的に追い詰められたことがあります。
そこで今回は、そんな私の経験も踏まえ、今まさに作業療法士を辞めたい!と思っている方のために、具体的な対応策をいくつかご紹介します。
まずは原因を明確にしよう!
作業療法士を辞めたい原因はいくつか考えられると思いますが、ただ漠然と『辞めたい』では、上司に退職を申し出たとしてもきちんと理由が説明できず、引き留められて終わるだけです。
まずはなぜ辞めたいと思うのか?その原因を徹底的に考えてみましょう。
ここからは、よく見られる原因とその対処法について、具体的にお伝えします。
人間関係が辛い
恐らく、作業療法士を辞めたいと思う方の最も多い理由が【人間関係】ではないでしょうか。
というのも、作業療法士は常に人と接する仕事です。
患者さんなどの作業療法対象者はもちろん、先輩・後輩・同期などのリハビリスタッフ、医師や看護師などの他職種といった多くの人と関わり、適切なコミュニケーションを取る必要があります。
中には、気の合わない人もいるでしょう。
人間同士なので当然です。
ですが正直なところ、人間関係の悩みはどこに行ってもつきまといます。
今の職場を辞めても、作業療法士を辞めても、です。
そのことを踏まえた上で、取れる選択肢は以下の3つです。
①我慢して付き合う
②距離を置く
③相手と話し合う
パワハラ・セクハラなど明らかに理不尽な対応を受けている場合は、すぐにその事実を上司に伝えて対応してもらいましょう。
④相手を辞めさせる・休職させる・他部署へ移動させる
という、第4の選択肢が取れる場合もあります。
大切なのは①我慢するを選んだ場合、期間や限界値をしっかりと定めることです。
後1ヵ月我慢して何も変わらなければ②③の選択肢に移行する、寝不足や食欲減退など明らかに心身に症状が出た場合は即刻②③の選択肢に移行するなど、自分の中で明確な基準を設けましょう。
ただ我慢するだけでは、状況はまず変わらないことがほとんどです。
②に関しては、正直難しい場合が多いかもしれません。
同じ職場である限り、顔を合わせないというのは不可能ですし、十分なコミュニケーションが取れないとなると仕事も円滑に進みません。
そして①②共に共通して言えることは、根本的な解決にはなりません。
まれに時間が解決してくれることもありますが、私の経験上、現状が変わらないことの方が多いです。
③の選択肢に関しては、上手くいくかいかないかは未知数です。
腹を割って話し合うことで関係性が良くなることもあるでしょうが、反面より関係性が悪くなるリスクもあります。
しかし、①②の選択肢を取るよりは根本的な解決になる場合もあります。
給料が安い
これも、作業療法士にとっては付いて回る悩みではないでしょうか。
初任給こそ高いものの、平均年収は400万円前後と、決して高くありません。
これに関して取れる選択肢は3つです。
①今の職場で昇給する方法を探す
②副業を行う
③転職する
①に関しては、正直難しい部分もあります。
なぜなら、作業療法士を含めたリハビリ職種は一般的に年功序列で給与が決まっており、一般企業のように役職もほとんどありません。
したがって、出世して役職手当をもらうということは難しいのが現状です。
例えば、ケアマネージャーなどの資格を取得することで資格手当が増える職場もありますで、一度上司に相談してみましょう。
②に関しては、この職種は基本的に副業は禁止されています。
しかし、実際には本業が休みの日には別のクリニックへアルバイトに行く人もいます。
また、フリマアプリで不要なものを売ったり、インターネットで動画や記事を配信して広告収入を得たりなど、一個人が自宅でできる副業もありますので、ぜひ調べてみて下さい。
③に関しては、2つの方法があります。
一つは、同じ作業療法士として少しでも給料の高い職場へ転職すること。
そしてもう一つは、全く異なる業界へ転職することです。
ただし、注意しなければいけないのは、例え給料が上がっても拘束時間が増えるなど、時給換算では減ってしまう場合もあります。
慎重に進めましょう。
仕事が面白くない
作業療法士の仕事内容は実に多岐に渡り、それに合わせて働く先も数多く存在するため、興味を持てる分野は少なからず見つかると思います。
関連記事:作業療法士の働く場所
ただ、作業療法士の仕事に興味があるものの面白くないと感じる方の多くは、私の経験上、仕事を面白いと感じない=やりがいを感じない=目の前の対象者が良くならない(結果が出ない)ことが多いように思います。
それは単純に、作業療法士自身のスキルの問題です。
厳しいことを言うようですが、勉強不足・努力不足に他なりません。
もちろん、進行性の疾患や、既に末期の状態にある方に対する作業療法では、目に見えた分かりやすい効果は出ないかもしれません。
しかし、作業療法士は身体機能のみならず、精神機能にも働きかけることのできる、数少ない職業です。
きっとどこかに、その人らしさを取り戻すための糸口があるはずです。
作業療法士としての力量が問われます。
中には知識や技術が十分あるのに、コミュニケーションが苦手で、自分の持っている力を上手く力を発揮できないという人もいるでしょう。
コミュニケーションに関するセミナー等も開催されているので、そういうものに参加するのも一つの手です。
また、気心の知れた同期や、尊敬する先輩から、アドバイスをもらうのも良いでしょう。
それでもコミュニケーションを取ることが苦痛で苦手な方は、残念ながら作業療法士には向いていないかもしれません。
接客を生業としない別の仕事への転職をおすすめします。
おわりに
作業療法士になった以上、社会人として働き出した以上は、きっと誰しもが一度は『辞めたい』と思うことがあると思います。
一度も失敗せずに、上司や顧客に怒られることもなく、順風満帆に成功し続ける人の方が珍しいでしょう。
あなただけではありません。
大切なことは、しっかりと自分自身の正直な気持ちに向き合うことです。
この記事が、その一つのきっかけになれば幸いです。
最後までご覧頂き、ありがとうございました。
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