作業療法には、様々な働く分野があります。
今回は精神科での作業療法をご紹介します!
精神科の対象患者
精神科の作業療法では、以下のような疾患の患者さんを対象にします。
- 統合失調症
- 気分障害(うつ病など)
- 神経症
- アルコール依存症
- 認知症
作業療法の内容
上述のような対象患者さんに対し、以下のような治療を行います。
日常生活動作(ADL)訓練
日常生活動作(Activitiesof Daily Living=ADL)とは、主に以下の5を指します。
- 食事
- 整容
- 更衣
- 入浴
- 排泄
これらは人が人らしく生きていくために、必要不可欠な動作です。
また、これらを日常的に、決まった時間にルーティンで行うことによって、生活リズムが整います。
昼夜逆転しやすい精神疾患の患者さんにとって、この生活リズムを整えることは治療の基本となります。
直接的に問題となっている動作に介入することもあれば、手工芸などを用いて間接的に介入する場合もあります。
日常生活関連動作(APDL)訓練
日常生活関連動作(Activities Parallel of Daily Living=APDL)とは、主に以下のようなものを指します。
- 調理
- 掃除
- 洗濯
- 服薬管理
- 金銭管理
ADLが行えるようになったら、次に生活する力を身につけるためのAPDL訓練を行います。
これにより、1人で生活していくスキルを身に着け、社会に復帰に向けた準備ができるようになります。
社会生活技能訓練(SST)
社会技能訓練(Social Skills Training=SST)とは、社会生活を送る上で必要な技能を鍛える訓練です。
一般社団法人SST普及委員会のHPには、以下のように書かれています。
“Social Skills Training”の略で、日本では「社会的スキル訓練」、「ソーシャルスキル・トレーニング」、あるいは頭文字を取って「エスエスティ」と呼ばれています。また、精神科領域では、「(社会)生活技能訓練」と呼ばれています。
SST は 1940 年代の行動療法にその原型を求めることができ、その後、認知の要素を取り込みながら発展してきました。複数の理論を背景としてさまざまな技法を含んでいるところは、認知行動療法と重なるところが大きいと考えられます。SST は効果が実証された体系的な方法で、日本でもその効果が認められ、 1994 年 4 月に精神科を標榜している保険医療機関において入院加療者を対象として「入院生活技能訓練療法」が診療報酬化されました。対人関係を中心とするソーシャルスキルのほか、服薬自己管理・症状自己管理などの疾病自己管理スキルを高める方法がスキルパッケージとして開発されています。現在では、精神科領域だけでなく、教育領域、就労支援関連領域、司法矯正領域、職場のメンタルヘルス(産業領域)など、さまざまな領域で実践されています。また、家庭や職場への訪問など、地域生活者の現場での支援も行われています。
SST は希望志向であり、精神障害をもつ人たちをはじめ、支援を必要とする方の希望に基づいた支援方法です。自己対処能力を高め(エンパワメント)、一人ひとりのリカバリーを目指して、SST が広く活用されることが期待されています。
一般社団法人SST普及委員会
主に以下の3つの訓練があります。
基本訓練モデル
- はじめの挨拶
- 新しい参加者の紹介
- SSTの目的と決まりの確認
- 宿題の報告を聞く
- 練習課題を明確にする
- ロールプレイで技能を練習する
- まとめ
- 終わりの挨拶の次回の予告
問題解決技能訓練モデル
集団の共通のテーマとして問題を取り上げ、それをロールプレイ形式で解決策を考えていく。
モジュール
- 服薬自己管理
- 症状自己管理
- 基本会話
- 余暇の過ごし方
- 地域生活への再参加
最後に
以上、一般的な精神科作業療法の内容についてお伝えしました。
作業療法の起源は、近代精神医学の祖であるフィリップ・ピネルが始めた道徳療法だとされています。
誰でも好きな作業や楽しい作業など夢中になれるものがあると、ワクワクして心が元気になりますよね。
まさに、精神科作業療法の仕事は、対象者の心と体を元気にする素晴らしい仕事。
大変なこともありますが、とてもやりがいがありますよ!
作業療法士のやりがいついてより詳しく知りたい方は、こちらの関連記事も合わせてご覧ください。

コメント