私は、作業療法士として10年以上に渡り、医療施設から介護施設まで、様々な現場で働いてきました。
そこで今日は、各施設での作業療法士の一日の流れと共に、各施設で働くメリット・デメリットについてご紹介します。
病院での作業療法

一日の流れ
8:15 出勤、スケジュール調整
私が初めて勤務したのは、病床数800ほどの巨大な総合病院だったため、患者さんをリハビリ室まで送迎するだけでも往復10分近くを要します。そのため、送迎専用スタッフが勤務していました。朝8:30までに送迎管理表に患者さんの氏名を記入し、一日のスケジュールを組み立てていました。
8:40 朝礼
リハ職種全員で、その日や週の共有事項を確認します。
9:00 午前業務開始
朝記入した送迎表に沿って、作業療法室に患者さんがやってきます。
急性期病棟に入院している患者さんは、主に1人あたり1単位(20分)、回復期病棟に入院している患者さんは、主に1人あたり2〜3単位(40〜60分)作業療法を提供します。
12:00 昼食休憩
この時間は患者さんも昼食を食べているので、食事場面を評価したり、動作指導することもあります。
13:00 午後業務開始
午前業務同様、作業療法室に来る患者さんの治療をした後、夕方以降は主に病室を訪れ、ベッドサイドでの作業療法を行っていました。
16:00 カンファレンス
回復期入院患者さんは、初回・中間・退院前カンファレンスがあるため、病棟内のスタッフルームにて主治医・看護師・介護士・担当リハ職種が集まり、治療方針や経過について話し合います。
17:00 カルテ記録
入職当初は紙カルテだったため、全員分の記録をまとめて行っていました。
18:00 勉強会
毎週決まった曜日に、症例検討や実技などの勉強会がありました。
長ければ2時間を超えることも・・・。
19:00 退勤
病院で働くメリットとデメリット
メリット
- 様々な疾患の方が入院しているので、幅広い知識や技術が身につく
- 患者さんの回復していく様子を感じやすく、やりがいがある
- マンツーマンで丁寧に関わることができる
デメリット
- 患者数が多いため忙しく、定時に帰れないことの方が多い
- 昼食時の介入も必要なため、十分な休憩が取れない
- 治療以外の業務(会議、記録など)が多い
介護老人保険施設での作業療法

一日の流れ
8:15 出勤、スケジュール調整
次に勤務した老健は、入所者さんの送迎は自己にて行いました。病院とは違い、マンツーマンで行うのではなく2〜3人の小集団で行うことも多かったため、やはり朝にその日のスケジューリングが必要でした。8:30 朝礼
私の勤務していた老健では、フロアごとに担当者が決まっていたため、朝礼はリハスタッフ同士で行うのではなく、フロア担当の看護師や介護士と行っていました。夜勤中の様子や、その日の予定(併設の病院への受診の有無や家族の面会など)を共有します。
8:45 送迎
その日一番始めに行う利用者さんを迎えに行きます。
9:00 午前業務開始
10:00 集団レク
各フロアのデイルームにて、集団レク(体操や脳トレなど)を行います。
11:00 午前業務続き
12:30 昼食休憩
13:30 午後業務開始
施設内のデイケアに通う利用者さんがリハビリにやってくるので、個々に対応します。
14:30 午後業務続き
再び入所者さんのリハビリを行います。
17:00 カルテの記録
18:00 退勤
介護老人保健施設で働くメリットとデメリット
メリット
・対象者の入れ替わりが少なく、業務内容が安定している
・上述のため、仕事の目処が立てやすく残業が少ない
デメリット
・自己にて送迎を行うため時間の制約がある
・改善よりは維持目的のため、やりがいを感じにくい
・自宅に帰れない入所者さんも多く全体の雰囲気が暗い
福祉センターでの作業療法

一日の流れ
8:30 出勤、リハ室の清掃
8:45 朝礼
午前業務開始
社会福祉協議会が運営する福祉センター内のリハビリ室で、通所施設です。
利用者さんは好きな時間に来所するため、スケジュール管理は必要ありません。また、自分で作業活動を選択して行うため、こちらが積極的に徒手的な介入を行うことは少なく、基本的は見守り、援助が必要な際のみ介入します。
12:00 休憩
13:00 午後業務開始
16:00 カルテ記録
17:30 退勤
福祉センターで働くメリットとデメリット
メリット
・残業がない
・昼食時の評価がなく、しっかり休憩も取れる
・利用者さんの自立意識やリハビリに対する意欲が高く援助しやすい
デメリット
・公的な施設のため公平性が常に問われる
・上述のため、マンツーマンでの積極的な介入は難しい
デイサービスでの作業療法

一日の流れ
9:30 出勤、午前業務開始
これまではフルタイム勤務でしたが、結婚・出産を期にパートタイム勤務に変更したため、この時間に出勤していました。利用者さんは認知症の方が大半で、2〜3人の小集団で簡単な体操を行っていました。
12:30 昼食休憩
13:30 午後業務開始
16:30 退勤
デイサービスで働くメリットとデメリット
メリット
・残業がない
・昼食の評価がなく、しっかり休憩も取れる
デメリット
・改善より維持目的なため、やりがいを感じにくい
・認知症の方が大半のため、その日の体調や気分のムラに柔軟に対応する必要がある
関連記事「働きながら子育ては大変?ワーママ作業療法士の1日」
最後に
以上、各施設での作業療法士の一日についてご紹介しました。
それぞれにメリット・デメリットがありますが、感じ方も人それぞれなので、ぜひ自分自身のワーク・ライフバランスに合った環境を見つけられると良いですね。
最後までご覧頂き、ありがとうございました。
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