リハビリ職種の一つである作業療法士。
ある日突然病に倒れ、混乱のさなかにいる患者さんや、認知症で自分が何者かもわからず不安になっている方に適切な援助を行うのは、容易なことではありません。
作業療法士としての専門性はもちろん、作業療法士自身の人間性が求められます。
そこで今日は、作業療法士に向いている人についてご紹介します。
作業療法士に必要な5つの特徴や能力
作業療法士に向いている人は、以下の5つの特徴や能力を持っています。
- コミュニケーション能力が高い
- 思いやりがある
- 想像力が豊か
- 努力ができる
- 体力がある
1.コミュニケーション能力が高い

リハビリを効果的に進めるためには、相手にわかりやすいよう動作を指導したり、意欲的に取り組めるよう前向きな言葉がけをしたりと、状況に応じたコミュニケーション能力が求められます。
また、患者さんは十人十色です。一人ひとり性格や考え方が異なります。
叱咤した方がリハビリに前向きになれる人もいれば、やる気をなくしてしまう人もいます。
相手に合わせた柔軟な対応が必要です。
2.思いやりがある

患者さんは皆、思い通りに動かせなくなった自分の身体に混乱したり、これから先どうなってしまうのかという莫大な不安を抱えています。
そのような方に、初対面の作業療法士がいきなり
「じゃあ今日から張り切ってリハビリしましょう!」
と、声をかけても困惑するだけです。その後の治療はうまくいきません。
まずは、患者さんとの信頼関係を築くことが最優先です。
不安な気持ちを受け入れ、寄り添い、思いやることが大切です。
3.想像力が豊か

相手への思いやりが生まれるかどうかは、想像力があるかどうかで大きく変わります。
相手の立場に立ち、今何をどう感じているのか、想像することが必要です。
一見、思いやりがあるような優しい言葉をかけたとしても、本人の気持ちと噛み合っていなければ、その言葉は相手には届きません。
また、作業療法士は名の通り『作業』を介して治療します。
例えば、紙切れ一枚にしても、折る・ちぎる・破る・切る・書くなど、使用用途は様々です。
適切な道具の選択と使用があってこそ、最大限の治療効果が発揮されます。
そのためにも想像力は不可欠です。
4.努力ができる

信頼関係を築くにあたって、思いやりだけでは足りません。
前述の通り、専門的な知識と技術を持って、効果的なリハビリを行えなければ、患者さんはますます不安になってしまいます。
医療現場は日々進化しています。その変化を適切に捉えるためにも、絶えず学び続け、自己研鑽するための努力が欠かせません。
5.体力がある

働く場所にもよりますが、基本的には常に身体を動かす仕事です。
特に急性期病院などでは、患者さんをベッドから車椅子に移乗したり、トイレ介助することがあります。
また、訪問リハビリ等では、自転車で各ご家庭を移動する場合もあります。
したがって、ある程度体力に自身がある人、身体を動かすのが好きな人のほうが向いているでしょう。
5つの特徴や能力よりも大切なこと
実は、この5つよりもっと、作業療法士に必要なことがあります。
それは、作業療法士自身が、一人の人間として毎日幸せに暮らせているかです。

作業療法士も一人の人間です。
体調が優れない、嫌なことがあったなど、自分の心に余裕がない時もあります。
そんな時に、他人を労るのは難しいです。
上手く築けない患者さんとの関係や、思い通りにいかない治療に、いつも以上にイライラしたり焦ったりしてしまい、余計に上手く行かなくなるという悪循環に陥る可能性が高いです。
疲れていたら睡眠時間を多くとる、ストレスが溜まっていたら美味しいものを食べてリフレッシュするなどして、日々健やかに過ごすことが何より大切です。
最後に
以上、作業療法士に必要な能力ついてご紹介しました。
働き始める前からこれらの能力を全て身につけていることは理想的ですが、欠けているからといって心配はいりません。
多くの作業療法士が働き出してから少しずつ、自然と身につけていくからです。
一人一人の対象者に、実直かつ誠実に向き合い続ける中で、作業療法士自身も大きく成長することができます。
対象者の援助をしているようで、実は対象者から教わっていることが多いのです。
そして何より、あなた自身が豊かな人生を送り、キラキラと輝いていれば、その幸せが周りの人達を元気にするでしょう。
ぜひ、充実した日々を過ごして下さい。
最後までご覧頂き、ありがとうございました。
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