作業療法士の仕事をしてきてはや10数年。
私はこれまで数々の職場を経験してきました。
そこで感じたのは、『作業療法という仕事の本質は変わらないものの、業務量に大きく差がある』ということ。
そこで今回は、私の経緯をふまえながら、それぞれの勤務先での業務内容や残業時間について、具体的にご紹介したいと思います。
総合病院の場合
まず初めに私が務めたのは、都心部にある病床数1000の巨大総合病院。
作業療法士としてのありとあらゆる知識・経験を得たいと思っていたので、急性期病棟・回復期病棟・地域包括ケア病棟が揃っており、診療科が30以上あるこちらの病院を選びました。
毎日あちこちの診療科から何件もリハビリ依頼(処方箋)が届くので、とても忙しかったです。
業務内容
- 患者のリハビリ
- 多職種とのカンファレンス
- カルテの記入
- 家屋調査
- 退院時指導(ホームエクササイズなど)作成
- 転院時情報提供書作成
- 勉強会の準備・参加
- 学生指導・後輩指導
残業時間
病院の診療報酬では、1単位(20分)という時間の区切りで動きます。
例えばAという患者さんには1単位、Bという患者さんには2単位(40分)といった風に、それぞれの重症度に合わせてリハビリを行います。
1日の平均単位は18単位以上だったので、上述の業務のうち1.患者さんのリハビリだけで最低6時間はかかります。
さらに2.3の業務を合わせると、それだけで1日の勤務時間が終わります。
ということは、残りの4〜8は全て時間外に行うということです。
全ての業務が重なった日は何時間も残業することも・・・。
総合病院時代は新人で、仕事に慣れていなかったことや自己研鑽の勉強も含めて、毎日平均2時間以上は残業していました。
また、経験年数を重ねてある程度仕事に慣れてきた後も、毎年臨床実習生が来ていたり、新しいスタッフが入ってきていたので、学生・後輩指導には多くの時間を費やしました。
もちろん、全ての総合病院がこうだという訳ではありません。
あくまでも私が経験した一例です。
ただ、忙しすぎる職場はスタッフにも余裕がなく、全体の雰囲気が良くなかったことは事実です。
福祉センターの場合
次に私が務めたのが、市が管轄している社会福祉協議会の中に設立されていたリハビリセンターでした。
病院を退院した後の患者さん達の生活を見てみたいと思い、こちらの施設を次の就職先に選びました。
利用者さんは好きな時間に自ら通所して帰宅するので、送迎のないデイサービスやデイケアのようなイメージです。
業務内容
- 利用者のリハビリ
- 実施記録の記入
- イベントの準備・参加
残業時間
公的な施設だったこともあり、残業はほぼなし。
病院のように、1人1人に決められたリハビリ時間はなく、細かくカルテを書く必要もありませんでした。
社会福祉協議会全体で行われる年間行事等への参加時は、準備などで多少の残業はありましたが、せいぜい多くても1時間程度でした。
今振り返れば、1番働きやすく、風通しの良い職場だったと思います。
介護老人保健施設(老健)の場合
3つ目に私が務めたのは、病院に併設されていた老健でした。
本格的に福祉分野の作業療法を学んでみたいと思い、こちらの施設を選びました。
業務内容
- 入所者のリハビリ
- 多職種とのカンファレンス
- カルテの記入
- 勉強会の準備・参加
- イベントの準備・参加
残業時間
老健のリハビリも、基本的には1単位20分という診療報酬の決まりがあります。
業務内容は多くありませんが、勤務時間中はほぼ1と2で終わるので、カルテは勤務時間後に書くことが多かったです。
また、勉強会も頻回ではありませんでしたが、季節を感じるための不定期イベントや、毎週毎月決まった定期的イベントあるため、その準備が忙しかったです。
平均残業時間は1〜2時間ほどでした。
おわりに
現在私は、結婚・出産を機に、デイサービスでパートとして働いています。
これまでの作業療法士人生を振り返って思うのは、総合病院時代は忙しく大変でしたが、その分若くて意欲も体力もあり、エネルギーに溢れていたので、学びの多い環境に身を置けたことは財産になったと思います。
おかげで作業療法士としての自信がつき、その後の転職や、転職後の仕事もスムーズにこなすことができました。
皆さんもぜひ、業務内容や残業時間のみならず、ご自身の意欲や興味に合わせて職場を選んでみてくださいね。
最後までご覧頂き、ありがとうございました。
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