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作業療法士の実習指導者(スーパーバイザー)や上司にパワハラを受けたら

昨今、大きな社会問題の1つとなっているパワハラ。

作業療法士の世界でも、決して例外ではありません。

そこで今回は、パワハラの事例と共に具体的な対応策についてご紹介します。

目次

作業療法士のパワハラ事例

事例1:教員の学生に対するパワハラ

D 学生は、真面目に勉強する学生でしたが、内気でおとなしい性格であり、同級生の間でも目立たない存在でした。最終学年になり、卒業研究論文の指導教員は C 先生と決まりました。

C 先生は熱心に研究指導を行っていましたが、締め切り日が近づくにつれ、土曜日、日
曜日は言うに及ばず、祝日でも学校に呼び出し、長時間にわたって指導するようになりました。

休日返上の指導に加え、指導についていけない学生に、「こんなことも分からないのか」、「お前はバカだ」などの暴言が頻繁に見られるようになりました。

D 学生は、精一杯頑張っているのに、人権を傷つけられるような言葉の暴力に晒され、心身ともに疲弊し、研究への意欲をなくしてしまいました。

引用元:日本作業療法士協会 作業療法士の倫理に係る事例集

事例2:実習指導者の実習生に対するパワハラ・セクハラ

臨床実習指導者の F 氏は実習指導に自信を持っており、少し支配的な傾向のある人物でした。

歓迎会の席でお酒が入ったこともあってか、E 学生は F 氏にお酒を勧められ
ましたが「飲めないこと」を理由に断ると、「自分が勧める酒が飲めないのか」などと言われ、その後も何回も執拗に飲酒を迫られました。

(中略)

実習のフィードバックが遅くなったある日の夕方、他のスタッフ全員が帰ったあと、触診について指導をするとのことで、E 学生の上肢・下肢に執拗に触れてきました。

「触診の指導をする」という F 氏の言葉に、実習の成績評価が気がかりな E 学生は、言われるままに指導を受けました。しかしその後もこのような行為が重なったため、E 学生は、責任者の G 氏に、実習指導が行き過ぎていることを訴えました。

引用元:日本作業療法士協会 作業療法士の倫理に係る事例集

事例3:上司の部下に対するパワハラ・セクハラ

上司の I さん(男性)に「同じ方向だから乗せていってあげる」と誘われ、タクシーに同乗することになりました。アパートに近づいて降りようとした時、「トイレに行きたくなった。悪いけど部屋のトイレを貸してもらえ
ないか」と I さんに頼まれ、いったんは断ったのですが、結局自室のトイレを貸すことになり一緒にタクシーを下車しました。

部屋に入り、用便を済ました I さんは、「作業療法科の運営のことで話しておきたいこともあるので、お茶を一杯飲ませてくれないか」と要求してきました。日頃より相談にのってもらい指導を受けていることもあり、断りづらく感じた H さんは、お茶を入れようとしました。

ところが、台所にいた H さんが振り向くと、後ろに I さんが立っており、突然抱きしめ
られました。その上、キスまでされたため、驚いて手を振りほどきました。しばらくして、I さんはバツが悪そうに帰っていきました。

翌日、H さんは職場に行きましたが、I さんと顔を合わせたり話したりすることができませんでした。その後も、憤りや気まずさ、怖さなどが入り混じった気持ちになり、職場の居心地が悪くなってきました。でも、自分にも落ち度があるような気持ちや、皆が知っているような気にもなり、他の人に相談することもできず悩んでいました。

引用元:日本作業療法士協会 作業療法士の倫理に係る事例集

これらの事例は作業療法士協会に寄せられた一部ですが、この他にも様々なパワハラがあります。

かくいう私も新人の頃、上司から「仕事ができないやつはここ(病院)にいても無駄だ」「無能なやつはあっちに行け」と言われ、関連施設に追いやられたことがあります。

もちろん、当時の私自身が未熟だったこともありますが、このようなセリフを何度も何度も堂々と皆の前で言われた時には『あまりにも酷い』と感じました。

また、私の後輩も別の先輩から夜遅く(22時頃)まで指導を受け、休日もメールで執拗に指導され、退職まで追いやられてしまいました。

このように、パワハラ・セクハラは決して他人事ではありません。

パワハラに対する対応策

では、実際にパワハラを受けたらどうすれば良いのでしょうか。

具体的な解決策をいくつかご紹介します。

対策1:上司に相談する

上司にパワハラを受けたら、さらにその上の上司に相談しましょう。

できるだけ感情的にならずに、冷静に事実を伝える必要があります。

うまく話せる自信がない場合は、あらかじめ紙に書いてまとめておくとスムーズです。

対策2:社内に相談する

上司に相談しても部署内での改善が難しそうな場合、社内に設置されているハラスメント委員会などに相談しましょう。

対策3:社外に相談する

社内に相談しても改善する気配がない場合、外部に相談するのも一つの手です。

先程事例でご紹介した内容には続きがあり、いずれも日本作業療法士協会に相談として寄せられたものです。

作業療法士協会以外にも、以下のようなものがあります。

総合労働相談センター

厚生労働省が管轄している職場のトラブルに関する相談や、解決のための情報提供をワンストップで行ってくれる機関。

無料・予約・秘密厳守をしてくれるので相談しやすいです。

また、全国の労働基準監督署内などにも相談窓口があります。

総合労働相談センター

みんなの人権110番

法務省が管轄している差別や虐待,パワーハラスメントなど,様々な人権問題についての相談を受け付ける相談電話。

受付時間は平日午前8時30分から午後5時15分までです。

番号は0570-003-110

みんなの人権110番

日本司法支援センター(通称:法テラス)

刑事・民事を問わず、どこでも法的なトラブルの解決に必要な情報やサービスの提供を受けられるようにしようという構想のもと、総合法律支援法に基づき、平成18年4月10日に設立された法人。

こちらも法務省の管轄です。

番号は0570-078374

法テラスは全国各地に事務所があるので、直接会って話すこともできます。

法テラス

対策4:退職・転職する

相談するのもおっくうなほど心身ともに疲弊している場合は、退職・転職するのも一つの方法です。

ただし、自己都合退職と会社都合退職では、もらえる失業給付金等に差が出てくるので、できれば然るべきところに相談のうえ、会社都合退職にしてもらいましょう。

おわりに

パワハラ・セクハラ・モラハラなどのハラスメントは、決して1人で抱え込んではいけません。

悩み続けているうちに、事態が取り返しのつかないほど悪化してしまうこともあります。

ぜひ、勇気を出して行動してみて下さいね。

最後までご覧頂き、ありがとうございました。

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